Skinwalkers

#212 Insurgence

12話の"insurgence"のラスト近く、一人たたずむレックスのシーンに流れる SR-71の"Tomorrow"ってのが、ドラマティックでツボでございます。
歌詞がまた、そのシーンにぴったり。
"明日は怖くない、ただ自分自身におびえる、 自分の中の炎を感じる、他人の目で見ているかのように" ってな感じの歌詞(超意訳)。
"Hauntings"にも、レックスの切なる願いが書いてあって なんだかこっちまで悲しくなってしまいました。
同じようなセリフが第二シーズンの後半、ヘレンに対しての告白の中に出てるんですが レックスは父親のように絶対なりたくないんですね。
自分が父親と似ているとわかればわかるほど、それを避けようと行動して しかしそれが却って彼自身を傷つけてしまう。

"insurgence"でもそうだったんですが、レックスはなにか始めてもすぐ反省して やめてしまうお坊ちゃんな部分があって、でもその行動がすでに周囲に影響して 自分ではとめることができない状態になってしまう。
ロジャー・ニクソンの件もそうでした。
簡単に言うと自業自得なんですが…でもいったんは間違った道に行ってしまっても 戻ろうと努力する。けど、どうもその間違った道から戻った場所は以前とは 微妙に違った場所なようで、どんどん正しい場所から遠ざかっているけど、彼はそれに気がつかない。
なんでかっていうと、ジョナサンのような、そっちは間違ってるよってアドバイスして 無理やりにでも引きずり出してくれる親がいないから。
しかもジョナサンは自分の息子やピートには正しいアドバイスができるのに ライオネルへの猜疑心から、どうしてもレックスを素直に見られず、彼の人生の中で ひょっとして最大の人間関係の失敗例をつくりかけてる。
でもそれも、ライオネルのせいなんですけどね。 こう…自分が嫌ってるものに似てくるというのは、たまらない状態じゃないかな…。

親ってのは自分で選べないから、一度憎しみがわくと、そりゃもうなんともいえない 微妙な橋田ドラマになるのが世の常でございますですよね。
でもだんだんと妥協して、自分が親と切り離せない遺伝関係にあるのを受け入れて 心の壁をちょっとずつ薄くしたり、とりあえずブロックの壁を暖簾に変えてみたりして 鏡をみたり親を見るたびに欝になるのをやめようとするのが、大人になるってことかも。
で、気がつくと親と同じこと言ったりやったりしてる自分がいるんですよ。 ははははは。
仕方ない。遺伝子の力は偉大です。

レックスには、そういう図太さがなさそう。
傷ついたあげくに、傷をブロック塀で隠しちゃって見ない振りしそう。
どうせ悪者になるのなら、思いっきり開き直って悪者になって欲しいな。 そのほうが見てるこっちも悲しい思いしなくてすむし、後味悪くならなくてよさげ。 でもカサンドラの予知に出たレックスは、嬉しそうに白骨の野原を見てたから 心配しなくても大丈夫かな?(…安心する部分が違うじゃねーか)

レックスが初めのほうのシーンで叩き壊すCDプレイヤーは多分これ。Bang&OlufsenのBeosound Overture。

このInsurgence撮影時のエピソードはこちら