Skinwalkers

01 Vortex

地下室から飛び立った宇宙船だが、竜巻に巻き込まれ八角形のパーツが再びはがれおち、墜落する。

ラナのトラックに飛び移ったクラークは、竜巻の中でばらばらになってゆく車体からラナを守り、地上に降りる。失神しているラナを病院へ運び無事を確認すると、いそいで家へ戻り、ジョナサンがロジャー・ニクソンを追って父が竜巻の中に飛び出したと知る。
竜巻の中、ニクソンを追っていったジョナサンは、森の中で彼に追いつくが、飛ばされてきたトレーラーハウスの下敷きになりそうになったニクソンを助けて飛び込んだ地下墓地に二人とも閉じ込められてしまった。

レックスはライオネルの救出を一瞬ためらっていたが、ライオネルの助けを求める声に我に返って助ける。
命は取り留めたが、ライオネルは重傷だった。
レックス:そこに横たわってるのは単なる患者じゃないんだ、ドクター!
医者:彼がライオネル・ルーサーだからといって特別な治療はできない。これで精一杯なんだ。
レックス:そんなことを言ってるんじゃない。彼は俺の父親なんだ。彼のために出来る限りのことをしてくれ!

重傷を負ったライオネルに、できるだけの治療を施すと約束するが、ライオネルは、レックスに一瞬芽生えた殺意を読み取っていた。自分がいなければもっと人生が楽になると思ったろうと言うライオネルに、レックスは正直にあやまった。
地下墓地に閉じ込められたジョナサンとニクソンは、言い争いながらも脱出手段を模索する。
病院でラナに会ったクロエは、クラークがラナの元へ行ったのではないらしいと思う。が、ラナは何かを隠していた。

納屋で懐中電灯を探してるクラーク、そこへレックスが入ってきた。病院でマーサと会い、ジョナサンが行方不明になったと知ったことと、自分の父が怪我をして入院したことを知らせる。
レックス:いまは医者に任せてある。嵐で崩れた柱の下敷きになったんだ。もし俺が彼を引き出してなかったら彼は死んでたよ。…助ける前に俺はためらった。もし彼が死ねば、俺の人生はもっとよくなるかもしれないって考えてしまったんだ。
クラーク:君は彼を救った。それこそが重要だよ。
レックス:いや。彼はそうは思わないよ。彼の辞書に寛容の文字はない。むしろ俺が父を救ったのは俺の弱さの現われだと思うだろう。


クラークとレックスは、ジョナサンを探すために森へ入り、木の上にひっかかっている一台の自動車を見つける。レックスは二手に分かれて探すべきだとクラークに提案する。
地下墓地ではニクソンがジョナサンに、クラークの存在を公表するべきだと主張する。ジョナサンは、クラークは自分たちの息子であり、どうするかはクラーク自身が準備ができたら決めることだという。
ニクソン:君らの息子じゃあない、君らはみんなを騙したんだ。彼は人間じゃない(He's not even human.この言い回しは第三シーズンのあるエピソードでもポイントのひとつになります)
ニクソンを殴るジョナサン。そのときニクソンの携帯電話がなった。
「もしもし!…レックス?」ジョナサンは携帯をとりあげ、壊してしまう。出たくないのかと怒るニクソンに、レックスと癒着して二人でクラークの人生を破壊しようとしているのを知ったいまは、ここで朽ち果てたほうがましだと言う。
一方、森ではレックスがニクソンに電話をしているのに出くわしたクラークが、激しくレックスを問い詰める。今回の事件には関係ないと言うレックスに、一度ニクソンについて嘘をついて、またいま答えをためらっている君を信用はできない、これまで父親が君について話したことが真実だろうかと思い始めてる、と言い放つ。
レックス:クラーク待てよ!君は疲れて気が動転してるんだ!
クラーク:よく言うよ!ほんとうは俺の父さんじゃなくニクソンを探しに来たんじゃないのか?
レックス:聞くまでもないだろう?

レックスの呼び止める声を無視して、森へ入っていくクラーク。

翌日。
災害救済センターとなっているタロン。赤十字が来て救援活動をしている。
行方不明者をたずねる掲示板にジョナサンの写真を貼り情報を聞きに行くマーサ。一緒にきていたクラークにラナが何かよい知らせはあったかと声をかける。すでに半日なにも情報がないと聞き、きっと大丈夫だと応援する。
クラークが感謝とともに、家に帰ったほうがいいのではと言うと、隕石群襲来のときに自分はたくさんの人に世話になったから、みんなを助けたいのだと告げる。竜巻のときにどうやって自分を見つけたのか聞く彼女に、クラークは、トラックから振り落とされて、うまく地面に落ちたのだろうところを偶然見つけたのだという。しかし、ラナは自分が見たと思ったことと違う、クラークがそこに…と言いかけたときマーサが戻ってきて話は立ち消えてしまった。
新しい情報がなにもないと嘆くマーサに、クラークは今回の父の失踪は自分の責任だと言う。自分がこの災厄をもたらしたのだと。
マーサ:自分を責めてはだめよ。あなた自身を変えることはできない。あなたが生きてる限り、人々はあなたを利用しようとするでしょう。お父さんと私はできる限りあなたを守るわ。でも私たちがいなくなる日がくる。そのときはあなたの贈り物をあなた自身で背負わなければいけないの。
クラーク:そんなこと言わないで!
マーサ:その日がきたら、あなたならきっと頑張れると思ってる
わ。

地下墓地では、壁を掘っているジョナサンが、その壁に鉛が含まれていてクラークは透視できないだろうと話す。いったいどれほどの能力をもっているのか、またどうしてそれを世界の人々から隠そうとするのか聞くニクソン。クラークは世界が宇宙に対して持っていた疑問の答えで、世界中がそれを知るべきだと主張する。しかし、地下墓地から脱出する方法を言うかわりにテープを渡せとジョナサンに言われ、しぶしぶ差し出す。ジョナサンはそのテープを引き抜き、 壁の一部がやわらかくなっているのを示して二人で堀り始める。

家に戻ったクラークを待っていたレックスは、ニクソンを知っていたことを最初に伝えるべきだった、ただクラークを守ろうとしていたと告白する。嵐の前にクラークの情報を売りに来たが、ケント家に手を出すなと警告した、森で彼の車をみたときニクソンがジョナサンの失踪に関係していると思ったと説明する彼に、なぜ先に話してくれなかったのかとクラークが言うが、知らないに越したことはないと思ったと言う。
クラーク:レックス、なにを信じたらいいかわからないよ。
レックス:俺が君の友達だってことを信じてくれ。君に見せるものがあるんだ。

そして地図を取り出し、携帯の電波塔の位置から見てここから1マイル以内にニクソンがいる、探してみる価値はあると言う。

クロエとピートとクラークの三人は地図を頼りに再び森を捜索する。しかし地図上にある建物が実際にはなく、途方にくれる。クラークは竜巻で運ばれてきたらしきトレーラーハウスを透視するが、なかには誰もいない。しかしその近くで、ニクソンがジョナサンに追われて逃げるときに投げ捨てたビデオカメラが落ちていたのをクロエが発見する。
周辺にいるとわかった三人の呼ぶ声を聞いた地下墓地の二人は必死に助けを求めて叫ぶが、掘っていた壁が崩れ、下敷きになってしまう。崩れてきたその土には、緑の隕石が含まれていた。何か音がしたとのクロエの言葉にクラークは再びトレーラーハウスを透視するが、床部分の透視できない部分の意味に気づくことなく、その場を去ってしまう。

タロンでテレビのレポーターの話を聞くマーサとラナ。テレビにはラナが乗っていたトラックのばらばらになった姿が映っており、どんな惨事にも奇跡はあると説明している。
ラナを励ますマーサ。自分はずっとTIMEの表紙になった泣く妖精なのだとぼやくラナに、隕石事件のとき、妖精のラナが魔法をかけてくれたからクラークが来た、妖精は希望をかなえてくれた、このことはクラークに話してないと打ち明ける。よろこぶラナ。こんな両親に育てられてクラークは幸せだと言うラナに、マーサはラナがクラークと親しくなってくれて嬉しいと話す。

森を捜索しているクラークたち。
パーティーに置き去りにしてしまったことを謝るクラーク。友だちを救うためにやったのだし、それが自分でもきっとそうしてくれたと思っていると明るく言うクロエに、クラークは、二人とも元の友だちのままでいたほうがいいのではないかと提案する。快く受け入れるクロエだが、クラークが別の方向へ父を探しにいったあと、そっと泣く。ピートはそんな彼女をできるだけ明るく慰める。

地下墓地。
空気が薄くなりつつある。壁が崩れるとき、ニクソンを庇ったジョナサンは怪我をして動けず横たわっている。自分たちがこのまま墓地で死ぬ皮肉と、ジョナサンは誇れる息子という遺産を残したと言うニクソンに、ジョナサンはクラークが初めて能力を発揮した日のことを話す。
ジョナサンの祖父が作ったオーク製の500ポンド(約230キロ)のベッドを頭上まで持ち上げたクラークを、医者や科学者に診てもらいに行こうとした、しかしその門前までいったとき、マーサが、クラークを二度と取り戻せなくなるだろうと言って三人で家に戻ってしまった。それは間違いだったかもしれないが、同じことが起きたら、やはり自分は同じことをするだろうと言う。その話をじっと聞いているニクソン。

スモールビル病院。手術室へ運ばれるライオネル。
背骨は治るかもしれないが、視神経への影響は免れない、その治療にはさらに時間が必要になる。容態を安定させてから手術するのがいいが、しかし怪我の状態がさらに悪くなる事も考えられる、手術をするかどうかは決めてくれと医者に言われ、手術を決断するレックス。

ケント家のリビング。
クラークとマーサとピートが、ピートの母が入手した約80年前の古い地図を確認している。その地図で、先ほど確認した地域にあった教会は1988年の隕石群で破壊されたことがわかる。トレーラーハウスの下に地下墓地への入り口があるかも知れないと言うクラーク。マーサがピートにレスキュー隊を呼んでこようと提案し、クラークは一人で森へ向かう。

トレーラーハウスをどかして地下墓地に入るクラークだが、中に落ちていた隕石のせいで動けなくなってしまう。事情を知ったニクソンはクラークのジャケットに隕石を入れ、クラークを攫おうと外へ引きずり出す。
ニクソンを追って殴りかかるジョナサン。しかし嵐で飛ばされてきた落下物の中から鉄筋を拾い上げたニクソンは、ジョナサンを執拗に攻撃する。人類には知る権利がある、自分の信じるもののためにならジョナサンを殺すとまでいうニクソン。倒れて動けなくなったジョナサンに、ニクソンが鉄筋を突きたてようとした瞬間、銃声が響いた。
ニクソンの左胸を銃弾が貫通し、彼は絶命した。その背後には、銃を構えたレックスの姿が…。

警察やレスキュー隊が来て、ニクソンの死体が回収される。
ニクソンから彼がレックスと繋がっていたことをクラークに告げるジョナサン。しかしクラークは、レックスはニクソンにここを立ち去るよう警告したと言う。どちらかが嘘をついているのだと言うジョナサン。
クラーク:考えてみてよ、誰が父さんを殺そうとしたか、誰が父さんの命を救ったか
警官との話を終えて近づいてくるレックス。
話しかけようとするレックスに、ジョナサンは礼を述べ、レックスと握手をする。新たな始まりだと言うレックスと微笑むクラークとマーサ。

スモールビルハイスクール。
Torch編集室で、クロエが泣きながら、パソコンに入れてあったクラークとのパーティの写真を、次々とゴミ箱に入れてゆく。しかし結局、ゴミ箱から消去を決心できず、キャンセルする。

ケント農場。
竜巻からラナを救ったときなにがあったか聞くジョナサン。自分とラナしか知らないし、その話をラナとすることはできないというクラーク。あんなに怖い思いをしたことはなかった、なにもできず、竜巻のなかで翻弄されるばかりだったが、突然トラックにたどりついた、それも自分から…まるで空を飛んだかのようだった、と説明する。


スモールビル病院。ライオネルの病室。
明かりを落とし暗いなかで、レックスが壁際の椅子に座り、付き添っている。ライオネルが目を開け、レックスを力なく呼ぶ。ライオネルの手術の結果を医者が教えてくれないというレックス、自分から伝えたかったと話すライオネル。歩けるようになるだろうという。そしてレックスに、助けてくれた礼をいう。
自分が無慈悲な行動をするのは、相手もおなじことをすると思うからだ、レックスが自分達の関係を敵対するものと考えているのは知っていた、しかしレックスは自分を助けた。ライオネルの手を握り、じっと話を聞くレックス。手術の決定をレックスが下したのも知っている、と言うライオネル。すぐに処置をしたほうがいいと判断した、と答えるレックスに、ライオネルは自分もそうしていただろうが、両人とも間違っていただろうと話す。いぶかしむレックスに、ライオネルは、目が見えなくなったことを告げる。驚くレックス。
ライオネル:手術は失敗だった。もう結果を変えることはできない。おまえに助けられずに死んでいたほうが、ずっとよかった…。
ショックを受け、握っていた手をもぎ離して、ドアに向かうレックス。レックスを探して手をさまよわせ、彼の名を低く呼び続けるライオネル。

ケント家の納屋の二階。
クラークが座っているところへ、ラナが訪ねてくる。
考え事をしてたと言うクラークに、まるで隠れてるみたいと言う。クラークは、早く全て元に戻ってほしいと言うが、ラナは元に戻ることはないだろうと言う。隕石群のときに、叔母のネルが彼女にそういった、事件は私を変えた、幻を消し、自分自身を見つけるだろうと。何を見つけたのか聞くクラーク。
ラナ:私はいつも自分は若いうちに死ぬだろうと思ってた。自分だけが生き残った罪悪感のせいかもしれない。竜巻がきたとき、その時が来たと思った。とうとう運命が私を迎えにきたって。そして、トラックの中であなたを見た。あなたが私を抱きかかえて、もう大丈夫だよって言った。わかってる、正気じゃないみたいでしょ。でも私は考え始めたの、あなたが他のときにも私を守るために来てくれたことをね。そして、クラークケントはなにか隠してるって。
君が知ってるクラークケントでしかないよ、と否定するクラーク、自分はトラックにはいなかったと言うと、ラナは静かに怒り、じゃあ私はどうやって生き残ったのと聞き返す。多分若死にしないってことだよとごまかすクラークに、あなたはここに一生隠れて生きることは出来ないのよ、と言い捨てて去っていく。なにも言えず黙って見送るクラーク。

夕焼けが、広いとうもろこし畑を照らしている。そのとうもろこし畑の一角に、クラークの宇宙船が不時着していた。