Skinwalkers

07 Lineage

ケント家のキッチン。
外出着のマーサがクラークに、遅刻するつもり?と大きな声で二階に呼びかけると、クラークが、できるだけ早く行くよ、と答えた直後に超速で降りて来る。どうしたら雷みたいに早かったり蜜みたいにとろかったりできるの?とマーサが叱る。笑って、自分でも謎だよと答え、パンを自分の熱線で焼くクラーク。ジョナサンがくくりつけた目覚まし時計を、今朝方叩き壊してしまったらしい。朝方人間じゃないんだよ、と言うクラークに、それは母さん譲りだ、とパンを取り上げて言うジョナサン。マーサは自分の結婚式にも遅刻したらしい。笑う二人にマーサが、みんなが雄鶏の声で起きるわけじゃないわ、とちょっとむっとする。試験勉強でギリシャ悲劇をやってたから遅くなった、とクラーク。ギリシャ悲劇のためにお前の母さんを働かせないとなとマーサを車で送るジョナサン。クラークもトーストを一口食べ、腕時計を見て慌ててパンをかじりながら外へ出て、超スピードで畑の中を走っていく。
ジョナサンのトラックが出たのを待っていたかのように、赤毛の中年女性が藁束の影から嬉しそうに姿を現し、ものおじした様子もなくケント家の中に入っていく。
キッチンのドアから入った彼女は、ゆっくりと家の中を眺めて歩く。階段のそばまで来て、いくつも並べてある写真たての中から一つを手に取り、写っているクラークをいとしげに指で撫でる。

スモールビル高校。
クロエがいつものようにマシンガントークでギリシャ神話のゼウスの浮気と、ヘラがゼウスの幼い私生児ヘラクレスを殺そうとした話をしている。単なる家族問題なのよ、との話に目を白黒させるピート。二人に並びながら、ピートの肩をたたいて笑うクラーク。そいつらリッキー・レイクショーに行くべきだって感じ、とピート。クロエはさらにゼウスが結婚の誓いを破った話をし、クラークが「危険な情事」の理由を与えちゃだめだよと付け加え、自分のロッカーで立ち止まる。クロエが振り返り、捨てられた女の怒りは地獄にもないほど恐ろしいのよ、と笑って言い、ピートとともに廊下を歩いていく。その姿を見送ったクラークがロッカーのドアを閉めて後ろを向くと、先ほどケント家に無断侵入していた女性がいる。こんにちは、クラーク、と嬉しそうに話しかける女性にちょっと困った顔でクラークがぼくら知り合いだっけ?と言う。女性は、一度否定し、また肯定して、私はあなたのおかあさんよ、と告げる。クラークの顔から笑みが消える。

ケント家の納屋の外。夜。
マーサとジョナサンがクラークの話を聞いている。マーサはその女性は間違ってる、あなたの母親ではない、と言う。クラークは、それは自分も彼女に話したが、彼女はぼくには考える時間が必要なんだろうっていって、もし彼女に話したくなったらとケータイ番号を渡した、と話す。ジョナサンはケータイ番号がかかれたメモ書きを見て、彼女とは一切連絡を取って欲しくない、と注意する。彼女を無視するのは難しいよ、スモールビルに家を買ったって言ってた、と立ち止まって両親に訴えるクラーク。驚く両親にさらに、彼女の養子縁組を扱ったエージェントは、メトロポリスユナイテッドチャリティーズ、以前クロエが僕に話したのと同じところだ、と言う。そこが扱った養子縁組は僕だけだって思ってた、と続けるクラークに、マーサがジョナサンを見て、ジョナサンがそうだったよ、と答える。クラークは両親に、何が起きてたのか教えて欲しいと言うが、マーサはそれは重要ではないわ、と言う。すべきことは、この女性を送り帰すことだ、お前がどこから来たかって興味をみんなに抱かせたくないと言ってジョナサンとマーサは歩き出すが、クラークは動かない。

タロンでケント夫婦と件の女性が会っている。
女性がマーサの手を握り、赤ん坊をあきらめた女がどういう権利があるのと思ってるんでしょうね、と話す。マーサは小さく、そう思ったわ、と答える。ジョナサンが、ダンリービーさん、見つけるのに苦労したことはわかるが、クラークはあなたの息子ではないと否定する。しかし彼女は自分の息子のルーカスがメトロポリスユナイテッドチャリティーズに譲り渡された唯一人の子供で、クラークはそこにいた唯一の子供だった、とはっきり答える。ジョナサンは自分達が法的に親だし、自分達が彼を育てた、と主張する。女性は、クラークを取ろうとしてはいない、ただ彼に知る機会を与えて欲しいだけ、ルーカスを放棄したのは私のした事の中で最悪だった、そうはしたくなかったと涙ながらに訴える。ジョナサンはいつか彼女がルーカスを見つけることを心から思っているが、残念ながら自分達とクラークに近づかないようお願いするしかない、と答え、マーサの手を取り席を立つ。二人を座ったまま呆然と見送る女性は、放心したかのような表情で「No」と呟く。

スモールビル高校の正面玄関。花が咲き乱れている。
クロエがトーチ編集室に行くとクラークがクロエのデスクの前に座っている。私のコンピューター使っていいのよ、ご遠慮なく、と声をかける。ちょっとうつむいていたクラークがクロエに、レイチェル・ダンリービーからEメールを受け取ってたろ、と抗議する。クロエは彼がメールを読んだことに驚くが、更にクラークは怒り、君は僕に養子縁組の件について根掘り葉掘りするのをやめるって約束した、と冷たく言う。クロエは、自分がやったのは、何か手がかりが掴めるかといくつかの養子縁組サイトに投稿しただけ、それにこのダンリービーって女性が返信した、と説明する。それを聞き、クラークは突然席を立ち上がり、椅子を乱暴に入れ、クロエに詰め寄る。それで君は「なぜ私の友達のクラークを調査しないの?彼はあなたの息子かもしれない」って言ったのか!と怒鳴る。クロエは、信じてよ、あなたのことは何も言ってない、と説明する。少し声の調子を落としてクラークは、じゃあ彼女は偶然スモールビルに現れて、僕の母親だって主張してるのかと言う。嬉しそうに、彼女ここに来てるの?といい、何があなたを彼女が本当の母親じゃないって確信させてるの?と話すクロエにクラークは、僕の生活を特ダネ記事にはさせないからな!と強く言うが、クロエは、彼女が自分の生みの親かもしれないって興味すらわかないの?と答える。

クラーク:なんで君は僕の母親についてそんなに取りつかれてるんだ!? 僕が君の母親について尋ねたか!?
クロエ:そんなんじゃないわ
クラーク:それは君の母親はこの数年姿を見せてないからだ! そんなに誰かの母親を探したいんなら、君自身の母親を探せよ!!
クロエ:彼女がどこにいるかは知ってるわ、クラーク! 違うのは彼女は私になんの興味も持ってないことよ!

涙を浮かべながら言うクロエを見て、クラークは言葉を失う。無言で編集室を出ようとするクラークにクロエが涙声で、もう話す気はなさそうね、あなたが知りたそうな情報があるわ、メトロポリスユナイテッドチャリティーズはライオネルルーサーが設立したのよ、と言葉を投げつける。クロエを見ずに部屋を出たクラークは、いったん立ち止まって考え込むが、また歩き出す。

レックス邸。
レックスがペンを指先でもてあそびながら、あなたの手紙を貰ったときよりもっと興味を引かれてる、でもまだわからないのは、これがどう僕と関係があるのかだ、と誰かに語りかけている。女性の声が、あなたとクラークはよい友人だとわかってるわ、と言う。件のダンリービーだ。ケント氏がクラークと私が話すのを禁じているので、レックスにクラークと彼女にチャンスを与えてくれるよう頼んで欲しいと言う。レックスは、ケント氏は自分をよく思ってないし、クラークが彼の父親を無視するのをすすめて彼をトラブルに陥らせたくない、とやんわり拒否する。彼の真の母親を知るためのチャンスだとしても?とたたみかけるダンリービー。残念ながら自分が関わるのは適切ではない、と言うレックスに、彼女は思わせぶりに、これを持ち出すtもりはなかったけど、自分はレックスの母親の看護士だった、と始める。母を知っているのかと聞くレックスにあなたのお父さんも、と答える。彼と私はとても親しくなったの、との彼女の言葉に、あきれたような表情をして右手で目を覆い、痛みでもするかのように目頭を押さえるレックス。

ダンリービー:彼は私を妊娠させて、養子縁組に出すからと私にあきらめさせたの。

その言葉の意味に気づいたかのようなレックス。少し彼女と見つめあったあと、あなたが主張してるクラークの件、クラークと僕…と言うレックスに続けてダンリービーが、彼はあなたの弟よ、レックス、と嬉しそうに言う。

スモールビル高校。
階段から、ラナがクロエを追いかけてくる。そこらじゅうを探したのよ、と言うラナに答えず歩くクロエ。クロエの様子にラナが気づき、どうかしたのかと聞く。クロエは涙をこぼしてクラークと大衝突したの、と言う。彼の秘密、プライバシー、私の病的に押さえきれない好奇心。クロエの取り乱し方にラナは静かに、あとで話しましょうと言う。クロエは気を取り直し、ラナに詫びて、ラナの用件はなんなんかと話を変える。ラナはちょっと困ったような顔で彼女を廊下の端に連れて行き、持っていた本の間から一枚の写真を出す。以前に出た、ラナの母親と謎の男性のツーショット写真。彼の名前はヘンリー・スモールで、一緒に写ってるのは自分の母親だと説明する。驚くクロエ。

ラナ:彼が私の実の父じゃないかと思うの

大丈夫かと聞くクロエに、笑って、大丈夫だと思う、彼についていろいろ知りたい、手伝ってもらいたい、と答えるラナ。クロエは、家族の大きな秘密を共有するほど誰かが自分を信頼してくるのは素晴らしい、と嬉しそうに言う。それで、どうやるの?と聞くラナに、彼の出身大学や駐車違反履歴、歯医者の記録とかいろいろ教えられるわ、とクロエ。

クロエ:でももしあなたがほんとうに彼が誰だか知りたいのなら、最新ハイテク調査装置をお勧めするわ。ドアベルっていうの。

ラナは考え深げにそれを聞く。

ケント家の玄関のそばの道路。
ジョナサンとマーサがトラックから降りて、買い物の荷物を下ろす。そこへクラークが超スピードで帰宅してきて、メトロポリスユナイテッドチャリティーをライオネルが設立したと知った、なんで彼が関わっているのか、と両親に強く聞く。なにも答えようとしない両親に、さらに、なにが起こってるのか僕に誰か教えてよ、とクラーク。マーサがジョナサンを促し、ジョナサンが事情を話し始める。隕石群襲来の日、もうなにもかも元に戻ることはないだろうとわかったあの日。

隕石群がスモールビルを襲う。
道路を走るジョナサンとマーサのトラック。隕石落下のショックで吹き飛ばされ、トウモロコシ畑の中でさかさまになってしまったトラックの中から、窓の外に小さな男の子が近寄ってきたを見つける二人。
消防車が行きかい、燃えるトウモロコシ畑の中をジョナサンが走る。被害を受けたらしいトラックを見つけ、運転席に行くが、知人のテディは亡くなっていた。窓ガラスには、なにか小さい、しかし激しい勢いでぶつかったらしき穴が開いている。
トラックの荷台にクラークの宇宙船を積み込み、それにシートをかけるジョナサンと、クラークをいとおしげに抱きかかえて微笑むマーサ。
道路を走っていると、突然一人の黒い服の男性が飛び出してくる。慌てて急ブレーキをかけるジョナサン。男性は必死に助けを求めていた。ライオネルだった。混乱した様子で、息子が、自分にはできない、とだけかろうじて言葉にするライオネルが指す場所へ走るジョナサン。全てがなぎ倒されたトウモロコシ畑に、レックスが横たわっている。ジョナサンが脈をみてライオネルに手を貸せと言うが、二人からかなり離れたところから見つめるだけのライオネル。ジョナサンは自分のコートを脱いでレックスを包み、抱きかかえて運ぶ。それに続くライオネル。
トラックの中。
助手席にレックスを抱きかかえたライオネル、真ん中にクラークを抱きかかえたマーサ、ジョナサンが運転している。ライオネルがいらだったように、もっと早く走れないのか、後ろの積荷が遅くしてるんじゃないのか、と言うが、なにも答えないジョナサン。マーサの腕の中のクラークがレックスを見て笑いかけると、それに気づいたかのようにレックスが顔を上げる。手を延ばし、レックスの頭から頬にかけてひとなでするクラークに、小さく笑い返し、また気を失うレックス。

病院の中。ライオネルが、ベッドに横たわり眠り続けているレックスをそっと窓から覗く。困惑しているのか心配しているのかよくわからない表情。廊下に歩き出した彼をジョナサンが見つけて引きとめ、レックスの容態を聞く。ショック状態だが生き延びた、あなたのすばやい行動で救われた、と言うライオネル。そこで始めて互いに名前を名乗り握手をする。ライオネルはジョナサンに、なにかできることがあったら…と言うが、ジョナサンはちょっと首を横に振る。そんなジョナサンに名刺を手渡し、電話を下さい、と告げる。

現在。
ジョナサンの行動をクラークがほめ、なんでそれを自分に秘密にしたのかわからない、と言う。話を続けようとしたジョナサンは、車の音に振り返る。パトカーが一台、敷地に入ってくる。訝しげなジョナサンとマーサ。保安官のイーサンが降りてくる。ダンリービーがロス裁判官(ピートの母親)にクラークのDNA鑑定請求をしたと告げる。クラークが、彼女は母親じゃないよ、と言うがこのテストがそれを証明するだろう、と言うイーサン。

ラナが見知らぬ家を訪れる。
玄関口にいくと中から男性がなにか一人で怒っている声が聞こえる。玄関のドアが開いているので、そっと中を覗くと、メガネをかけた男性が電話で" Lowell Country Water and Power"(ルーサーが所有している)に対して怒っている。電話が切れたために更に怒り、受話器を棚に叩き置く。ラナがそっと声をかけると、乱暴に答える男性。少し落ち着いた様子。ラナを法科の学生と間違えるが、次にタロンのマネージャーだと気がつく。ルーサー所有だからタロンには行かないんだと言う男性に、レックスは単なる出資者よと答えるラナ。

ヘンリー:それがビシー政権がナチスについて言ったことだ。その後フランスがどうなったか
ラナの名前を聞き、ラナは名乗ってあの写真を見せる。ヘンリーは驚いたような顔で、どこで入手したかと聞く。自分が見つけた、と答えるラナ。彼女を愛してた?と聞く彼女に、どんな言葉を望んでるんだ?と冷たく言うヘンリー。ラナはその対応に困惑する。大昔のことだ、問題ではない、と言うヘンリーを、家のどこかから女性の声が呼ぶ。台所に女性の姿が見える。ラナは、ヘンリーに、彼が自分の親かもしれないと思っていると伝える。しかしヘンリーは答えない。さらに女性に呼ばれて動揺するヘンリーは、自分には家族がある、二度と邪魔しないでくれ、と言って奥へ入っていく。ラナは彼の家を飛び出し、泣きながら早足で帰っていく。

ケント家のキッチン。
白衣を着た女性がクラークの口の中に綿棒をいれ、細胞を採取している。
ジョナサンとマーサ、それにイーサンが見守っている。
あとで連絡する、と言って女性と一緒に出て行くイーサンが出て行ったあと、ジョナサンはクラークに検査を受け入れないと裁判所に呼ばれてた、と言う。


マーサ:彼らがクラークのDNAを顕微鏡で見たら、どうなるか
クラーク:もし僕がDNAを持ってればね
ジョナサン:だからこそ、誰にもサンプルを分析するチャンスをなくすことが必要なんだよ


クラークはジョナサンの顔を見て、なにか考えている。

メトロポリス。夜。
青い光で満たされた暗い建物の中に、クラークとピートが侵入する。検査室のドアを開け、検体を見つけてピートのものと交換する。
朝、ケント家のキッチン。
クラークが帰ってきて無事終わったと告げると、ジョナサンはこんなことをさせて悪かったと声をかける。父さんのせいじゃないよ、それぞれの得意分野があるじゃないか、と言うが、ジョナサンは言葉を濁して仕事に出かけてしまう。ジョナサンの様子がおかしいことをマーサに尋ねるクラーク。マーサは、ジョナサンは悪魔との取引がいつか自分達を悩ますようになるだろうと言っていた、と言う。なんでそんなことをしたの、と聞くクラークにマーサは答えたくないようすだが、さらに彼に、どうしてライオネル・ルーサーの手助けが必要になったの?と聞かれ、私たちが感じたプレッシャーなんか見当もつかないでしょう、とクラークのそばを離れ、居間のほうへ歩いていく。
マーサ:突然家に新しい小さな人物を迎えて、あなたをどうするべきかもわからなかった、私たちは参ってた。

幼いクラークが居間の床に座って古めかしいおもちゃで遊んでいる。
マーサはクラークの傍らにひざをついて、ジョナサンに、あなたのお母さまが物持ちのいい人でよかったわ、と言う。ジョナサンは彼を置いてはおけないよ、と言うがマーサは、この子がここにいる理由を考えてた、彼は私が花屋で望んだものだわ、と返す。この子をみたときから魔法の杖を信じたの、と返す。その時ドアがノックされ、ジョナサンはマーサにクラークを上へ連れて行くように言う。マーサがクラークを抱えて去ったあと、ジョナサンがドアを開けると、保安官のイーサンがいる。道路でトラックをみたから君らが大丈夫かどうかよったんだ、とイーサン。大丈夫、うちより大変な人がいると思うよと話を逸らそうとすると、突然クラークが出てきて、マーサが彼を追いかけて抱きとめる。イーサンに見つかってしまい、誰だい?と聞かれてとっさにマーサが答える。

マーサ:クラークよ、私の旧姓は良いファーストネームになるわ、あなたに私たちの息子に最初にスモールビルで会う人になって欲しいと思ってたの。もちろん養子縁組したのよ、ええと、ちょうど今朝メトロポリスから彼をつれてきたところなの

養子の話を聞いたことはなかったが、喜ばしいことだ、この惨劇の中でなにかよいことがあるのは素晴らしい、と言う。それを聞いて両手を広げるマーサと、マーサにしっかり抱きつくクラーク。

現在、マーサはそのぬくもりをいまも感じられるかのような表情で、イーサンは正しかった、と言う。
あなたはあの日起こった唯一の良い出来事だった、とクラークがいるキッチンに戻る。クラークはちょっと沈んで、とっさにそうしたんだね、と言う。マーサは、トウモロコシ畑で見つけたとは言えなかった、一度言葉にしてしまうと、それを補わなければならなかった、それで、ライオネルルーサーに電話して、彼に厚意を受け取ることにしたの、彼は全て整えてくれたわ、と説明する。なのにどうして秘密にしてたの?と聞くクラークに更にマーサが話そうとすると、突然レックスが開いていたドアから入ってきて、お邪魔じゃないかな、と挨拶をする。驚くクラークとマーサ。

納屋の階段をレックスとクラークが上がっていく。
レックスはバスケットボールを持っている。レックスが君のジャンプショットを助ける兄貴がいたらって思ったことないか?と言うレックス、その手からボールを取って、一人でどうにかできるようにがんばったよ、と笑う。先に階段を軽々とあがるクラークに、レイチェル・ダンリービーが会いに来たよ、と言うレックス。

レックス:彼女は君と俺がいくらか同じ染色体を持ってるって言ったぞ、正確には俺の父親の染色体だな。

振り向いて、レックスに何を話そうかととまどうクラークだが、彼女は自分の母親ではないと告げる。レックスもそれは疑わしい、父親への実父確定訴訟のための画策だろう、と言う。ライオネルに尋ねたかと聞くクラーク。もっと事実を把握するまで言いたくなかった、想像するのはたやすい、婚外交渉の歴史で、彼はまるまる一章を占めるだろうさ、と言ってレックスはクラークからボールを取り、階段の上の箱に投げ入れる。君は気にならないの?お母さんと君は仲が良かったのに、とクラーク。レックスは階段を上って箱からボールを取り出す。

レックス:俺の母の苦痛だったと? もちろん気になるさ、でも残念ながらあらゆる結婚がジョナサンとマーサのようなロックウェル派とは限らないんだよ。

クラークはちょっとうつむく。レックスはダンリービーに、この21世紀の世の中においてDNA検査の証拠なしに主張するべきではないと話した、と言う。それでどう思う?クラーク、と言ってボールを投げ渡すレックス。

レックス:兄弟になれるチャンスはあるかな?
クラーク:そうなったらすごいけど、レックス、ぼくらは違うよ。


レックスはちょっとうつむく。

レックス邸の書斎。
中華風の服を着た使用人がレイチェル・ダンリービーを案内してくる。中にはライオネルがいる。私たちは合意したと思っていた、と言うライオネルに、DNAテストの結果をもらった、どうやったか知らないけどあなたが手を加えたのね、と怒っているレイチェル。何のことかわからないと言うライオネルに更に詰め寄り、クラーク・ケントは私たちの息子で、あなたはそれを知ってるのよと責める。相変わらず言ってることがめちゃくちゃだだ、とライオネル。唯一のばかげたことは赤ん坊をあなたに取られたことだ、とレイチェル。十分償ったし面倒もみたろう、とのライオネルの言葉に、七年間の精神病院の費用のこと?と怒る。

ライオネル:君には助けが必要だ
レイチェル:いいえ、私が必要なのは家と家族よ。あなたが去った後、それはかなわないはずだった、ルーカスなしでは、誰もなしでは
ライオネル:なぜ君は治療を続けなかったんだ?
レイチェル:治療なんか必要なかったのよ あなたが私を遠ざけたかっただけ。
ライオネル:古典的な否定だな
レイチェル:まだ終わってないわ、あなたのことを暴露する
ライオネル:暴露? 誰に? 妻は死んだ、知ってるだろう?

レイチェルの顔に触れ、顔を近づけるライオネル。君はまだ以前のように美しいか?となだめるように言うライオネル。レイチェルの耳にキスし囁く。少しうっとりするレイチェル。過去は忘れて治療を受けることをすすめるライオネルの言葉に我にかえり出て行くレイチェル。

レックスコープのマークがついたシャッターが開き社員専用駐車場から、レックスが車で出てくる。その前にレイチェルが異様な微笑みをして立っている。様子が変だと気づき、大丈夫か?と聞くレックスに近づき、隠し持っていた注射器をレックスの首に刺すレイチェル。レックスは抵抗するがすぐに気を失ってしまう。

ケント家の納屋の二階。
ラナとクラークが座ってクラークの家族アルバムを見ているらしい。
素敵なお父さんをもって幸せね、とラナ。続けて、クロエと一戦交えたって?と聞く。気にしないで、クロエは私に詳しいことは言わなかった、いつものケントの秘密のベールでしょ、と言うラナに、クラークは詳細を話す。クロエは自分の養子縁組について調べないと約束したのに破った、そのおかげで自分が母親だと名乗る女性が来てるとクラーク。

クラーク:彼女、学校で待ち伏せして「こんにちはクラーク、私はあなたの母親よ」って。なあ、そんなこと誰がする?
ラナは自分の行動を思い出したかのようにちょっと黙り込んで、そっと手を上げる。写真の男性を突き止めて、彼の家へ行った、と言うラナに驚くクラーク。それでどうなった?と聞くクラーク。
ラナ:彼はタロンが大嫌いで、ルーサー家が大嫌いで、私をナチスに例えて、そして二度と来るなって言ったわ。
そりゃよかった、と返したクラークの言葉にちょっと落ち込むラナ。クラークは気がついて謝る。父親が長いこといなくても私はよくやってこれた、なんでいまさら自分には誰かが必要だなんて思ったかわからない、と努めて明るく答える。
僕は必要だよ、と言うクラーク。クラークを見つめるラナ。

クラーク:ラナ、僕らは違うんだ。生みの親に毎日は会えない、自分達が誰なのか、自分達がなにになるのかって部分なのに。もし僕が実の両親と会うチャンスを掴んだら、最初の面会が望んだ通りじゃなかったからってあきらめたりはしないよ。
ラナは黙ってクラークを見つめる。

一軒の、空き家風の二階建ての家。

レックスが椅子に縛られている。顔の汗を拭くレイチェルの手に意識を取り戻し抵抗を始めるレックス。あなたのお父さんがくれたお金で買った家にいるのよ、とレイチェル。いつか必要になる日がくるってわかってたから使わなかった、クラークはここを気に入ると思う、と話す。レックスは自分を椅子に縛り付けている強力なテープのようなものを外そうともがきながら、それは難しいだろうね、と言う。

レイチェル:あなたにはわからないわ。失われた年月、マーサケントがバーステーケーキを焼きマーサケントがクラークの涙を乾かしたのよ
レックス:それが俺を誘拐する理由か?
レイチェル:いいえ、信じて、こんなことはしたくなかったわ。でもあなたの父親が私に選択の余地を与えなかったの。

もし父が嘘をついていて、クラークが俺の本当の兄弟なら、あんたと同じぐらい知りたいと思うよと彼女を懐柔しようと話しかけるレックス。俺を捕まえてどういう助けになるんだ?と聞く彼に、あなたの父親が真実を話すか、彼が息子を失う痛みを知ることになるかよ、と答えるレイチェル。絶望的な表情をしたあと、再び逃れようと試みるレックス。レイチェルは携帯電話をかける。

レックス邸。書斎。
マーサがレックスの机に座り、その上に携帯がおかれる。なにか悪いことでも?と聞くマーサ。ライオネルはレイチェル・ダンリービーがレックスを誘拐した、と告げる。

ライオネル:もし私が記者会見で、クラークの養子縁組はみせかけで、実は彼は私の庶子だという発表をしなかったら、彼女は…彼女はレックスを殺すつもりだ。

スモールビル高校の廊下。
クロエを見つけて急いで近づくクラーク。見つかってよかった、というクラークに、二度と聞けないと思ってた言葉だわ、と返すクロエ。クラークはちょっと間をおいて、ぼくらは互いにやったことを後悔してる、ぼくは言ったことをわかってる、クロエの手伝いが必要だと告げる。

トーチ編集部。
クロエがパソコンでレイチェル・ダンリービーが買った家について調べている。その間にクラークが彼女の隣に座り、君のおかあさんについて僕が言ったことだけど、言い過ぎたよ、と謝る。クロエは受け流し、みんな家族の秘密を持ってるものなのよね、と言って笑って話し始める。

クロエ:彼女は私が五歳の時に出て行ったの。階段を降りたら、ワッフルを作ろうと頑張ってる父がいたわ。父は、母がなぜ出て行ったか説明さえしなかった。奇妙だったわ。
明るく振る舞うクロエに、クラークは改めて謝る。クロエはちょっと肩をすくめて、なんでもないというポーズをする。自分が愛されるに足らないって思うのは難しいわ、と自嘲するクロエの、マウスを持っている手に手を重ねてクラークは、そんなこと考えるなよ、と優しく言う。泣きそうな顔で微笑むクロエ。その時、パソコンが結果を出した。レイチェル・ダンリービーの記録はない。ちょっとクラークが考えて、ルーカス・ルーサーでは?と聞きクロエが調べるとすぐ出てきた。パソコンに"Lucas Luthor 1436 Blueberry Park Lane, Smallville, Kansas, 67254"と表示が出るのとほぼ同時にクラークが超スピードで去る音がする。クラークが突然いなくなったことにがっかりするクロエ。

レイチェルがライオネルの記者会見をテレビで見ている。
レックスは後ろ向きで座らされているが、首を回しじっと会見を聞いている。誘拐した犯人に対して、私は絶対に屈しないと宣言するライオネル。レイチェルは激しく画面に向かって抗議するがライオネルの会見は淡々とすすむ。もし彼を傷つけたら、こんどは二度と許さない、と言うライオネル。レックスは必死になって縛られている椅子から逃れようともがき、怒り狂ったレイチェルは隣の部屋へ入って斧を取ってくる。レックスは抵抗するが、「あなたの父親はあなたを殺したのよ」と言って斧を振り下ろす。その瞬間、椅子の足の部分に縛り付けていたテープがちぎれ、レックスはレイチェルの腹に蹴りを入れるが、同時に後ろに倒れこんでしまい、頭を打って気を失ってしまう。
レイチェルが起き上がり、再び斧を持った。その頃、クラークが道路を超スピードでやってきて、レイチェルの家をみつける。透視して斧を構える人間と倒れている人間を確認、超スピードでドアをぶち破って入り、レイチェルが振り下ろす斧の下に体を滑り込ませてレックスを守る。斧はクラークの体に当たって粉々に砕ける。驚いて、あなたは誰なの?と聞くレイチェルにクラークが、あなたに話そうとしてたのはこれだ、僕はあなたの息子じゃない、と言うと彼女は泣き崩れる。泣き続けるレイチェルを抱きしめるクラーク。

タロン。
ラナがコーヒーサービスをしていると、突然ヘンリー・スモールがきて、かわいい場所だね、カラフルでと褒める。驚くラナはコーヒーを勧めるがすぐに気がついて、いらないわよね、とカウンターの方へ戻るが、ヘンリーはレギュラーを頼む。そしてラナからもらった手紙を出して、彼女の手紙と待ち伏せについて触れ、その方法は自分譲りかもと言う。さらに驚くラナ。それで、あなたは私の父親なの?と聞く彼女に、わからない、と答えるヘンリー。しかし明確にするのはいとわない、とも言う。嬉しそうに微笑むラナ。

ケント家の納屋の二階。
マーサが、レイチェルは精神療養所に入った、クラークについて説明しようとしても誰も信じないだろう、と言うとクラークは、彼女はほんとうにかわいそうだと思うよ、と言う。赤ん坊をあきらめるなんて想像もできない、と言うジョナサン。家族が一つ屋根の下にいられて嬉しいわ、とマーサ。ライオネル・ルーサーでも自分たち家族を引き離すことはできない、とジョナサン。納屋を出て行こうとする彼に、ライオネルは僕らを助けたのになぜ彼をそんなに憎むの?とクラークは尋ねる。まだ話そうとしないジョナサンを促すマーサ。ジョナサンは決心して話し始める。


ジョナサン:彼が養子縁組の書類を持ってきた朝のことだ。俺は二度と彼と会うまいと思った。

ライオネルが納屋に入ってくる。
上で作業をしていたジョナサンに声をかけるライオネル。ジョナサンの額にはまだ隕石群襲来の日の怪我を手当てしたあとがある。ミスター・ルーサー、と呼びかけるジョナサンに、ライオネルと呼んでくれ、と笑いかけるライオネル。二人は階段の中央で握手をする。ライオネルはアタッシュケースを開け、ご注文通りだと思うよ、と書類を渡す。書類を見て、わざわざ持ってきてくれてありがとう、こんなことをしなくてもよかったのに、と礼を言うジョナサンに、ライオネルは、今日レックスをメトロポリスに連れて帰るのだと告げる。よくなって嬉しい、と笑うジョナサン、礼を言うライオネル。ライオネルは嬉しそうに書類を見るジョナサンに、ひとつお願いがある、と始める。

ライオネル:実はロス兄弟が工場を売ることを考え直そうとしていると聞いたんだ。よそ者に売りたくないらしい。君は彼らの友人だそうだね?
ジョナサン:ああ、ああ、そうだよ
ライオネル:彼らを説得してくれないか、私が、スモールビルの最大の利益を心にかけているとね。そうしたら変わると思うんだ。
ジョナサン:あー…そうは思わないな、実際のところ、俺は関係ないよ、ミスター・ルーサー
ライオネル:了解した

書類を持って階段を上がるジョナサンに、アタッシュケースを閉めながらライオネルは突然、もし私が君なら、その証明書は慎重に扱うだろうな、家庭福祉担当者にクラークの若い養い親はうそつきだと思われたくない、と言ったあと階段を降りていく。驚いてジョナサンはライオネルに、俺を脅すのか!?と呼びかける。ライオネルは階下から見上げて、もちろん違う、単にちょっとした厚意を求めてるんだよ、と笑って去っていく。階段をゆっくり上がりながら書類を見て、外へ出て行くライオネルを見送るジョナサン。

現在。
目を閉じて考え込んでいるようなジョナサンにクラークは静かに、それで、ロス兄弟に売るように説得したんだね、と言う。俺はルーサー家がこの地域に足がかりを作るのを手伝ったと話す。マーサは何も言わずにジョナサンをみつめている。煙突群、有毒廃棄物、ピートの家族のように欺かれた人々、それはもし俺がいなかったら起きてなかった、と辛そうに話すジョナサン。クラークは、父さんは何も知らなかったんだ、と言うが、ジョナサンは、いや、知っているべきだった、俺はライオネル・ルーサーがどんな男かちゃんとわかってた、と言う。クラークがちょっときつく、なぜ僕に話さなかったのと聞く。お前がお前自身を責めるだろうとわかってたからだ、と答える。自分のせいだと言うクラークに、強く否定するジョナサン。そんなこと思っちゃいけない、俺が決断した、俺の過ちだ、俺の問題だ、と言うジョナサンを見て、彼の孤独を理解したかのようなマーサ。ジョナサンは階段を一人で降りていく。
クラークは父の姿が納屋の外へ消えるのを見送る。

レックス邸。書斎。
ライオネルが酒を飲みながら蝶々夫人を聞いているところへ、レックスがドアを開ける。生き延びたけどあんたに感謝はしないからな、とレックス。ライオネルは、彼女はお前を殺さないとわかってた、と笑って言う。レックスは、やろうとしてたよ、と言い、部屋の中へ入ってくる。彼女に屈することはできなかった、わかってくれ、と言うライオネルに暖炉の前に立ったレックスは、これまでにしてきたことのように?と嫌味を言う。

ライオネル:私は…あー…お前の母親を深く愛していたよ、だが完璧な夫ではなかった、私は迷っていたんだ。いつかお前が誘惑されたら、レックス、その時にどういうことかわかるだろう。
レックス:俺のことじゃなくあんたのことだよ、父さん。レイチェル・ダンリービーについて話してるんだ。彼女はあんたの私生児を生んだのか?生んでないのか?

ライオネルは、彼女の妊娠を知らなかったと言う。ある日突然子供を連れて来て彼の子だと主張し、妻と別れて自分と結婚しろと迫ったらしい。レックスはライオネルの前のソファに座り、それで彼女に金を渡し、養子に出して子供を放棄させたのか、と、ライオネルのほうを見ないで言う。彼女は不安定だった、彼女は私を脅した、おまえの母親の具合が悪すぎて、スキャンダルに耐えられそうもなかった、とライオネル。「あんたの利他主義大活躍だ」と皮肉るレックス。ライオネルはそれを無視し、誰にとっても最良だと思ったことをしたんだ、子供はふさわしい家庭に養子に出した、と言う。レックスはそれに反応し、ケント家じゃないのか?と聞くがライオネルは小ばかにしたように笑って、ケント家?馬鹿にするな、と答える。たたみかけるように、彼はどこにいる?と聞くレックス。"ある晴れた日に"が流れる中、しばらく黙っていたライオネルは少し涙ぐんだような目で、彼は死んだ、彼の最初の誕生日前に、と低く言う。レックスも辛そうにうつむく。目を押さえ、許してくれレックス、とても疲れた、今日は長い一日だった、と話す。レックスは父に同情するかのようにわかった、と小さく答えて、席を立ち、ドアのところで少し立ち止まり、話しかけようかとでもしている様子をみせるが、そのまま出て行く。
残されたライオネルが何か考えたあと、懐中時計のようなものをとり出し開いて、その内部を左の指で大切そうにまさぐっている。
懐中時計が大きく写される。
金色の髪の毛の小さな束と、その下には、ライオネルと同じ髪の色の7〜8歳ほどの少年と、ライオネルが一緒に笑っている写真がある。髪の毛を取り出し、いとおしげになでるライオネル。

END